モラルハラスメントを体験
かなり前になりますが、“モラハラ夫”という言葉が話題に上ったことがありました。
モラルハラスメントは、直訳すると“精神的な嫌がらせ”だそうです。“言葉による嫌がらせ”とか“大人のいじめ”などと解説している資料もあります。
でも、どんな行為がモラルハラスメントなのか、パワーハラスメントとどのように違うのか、分かりづらいところです。
これってパワハラ? 繰り返し行われる悪意ある行動
わたしは、かつての職場で“モラハラ”上司に苦しめられた経験があります。
以下は上司の言動のほんの一例です。
- 正しい情報を伝えない、情報を歪曲して伝える
- 周囲の意見に耳を貸さない
- 他部署と揉めて、部下に尻拭いをさせる
- 周囲に不和の種を蒔く
- 部下の足を引っ張る
- しつこく絡んで嫌味を言う
これらを業務に織り交ぜて、しつこく実行するのが上司のやり方でした。繰り返しやられると本当に消耗します。
職場の空気がどんどん悪くなっていくのを感じました。
パワハラ容認? メンタル疾患続出 会社は矛盾に満ちている
当然、メンタル疾患で休職する人、辞める人が続出しました。
ただし、上司のやり方は実に巧妙で、感情的に怒鳴ったりすることもありません。
パワハラの証拠が無いということで、結局、上司が責任を問われることはありませんでした。
それどころか、トップに気に入られていた上司は着実に昇進していきました。
どうやってモラルハラスメントから抜け出したか
これがパワーハラスメントでないのなら、今、体験している状況は一体何なのか?
どのように対処すべきか分からず悩んでいるときに一冊の本と出会いました。
モラルハラスメントを知る “モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない”との出会い
それが、マリー=フランス・イルゴエンヌ先生の“モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない”です。
著者は精神科の医師だそうですが、だからといって、この本が専門用語をちりばめた難しい本というわけではありません。
夫婦間、職場内のモラルハラスメントについて、事例を交えながら分かりやすく、原因から対処方法まで丁寧に説明されています。
“モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない” を読んで救われる
この本を読んで最もわたしが勇気づけられたのは、モラルハラスメントを単なる道徳的な問題ではなく、犯罪レベルの問題として扱っている点です。
著者は、モラルハラスメントをする側を“加害者”、モラルハラスメントをされる側を“被害者”と呼んで、それぞれの人物像を分析しています。
読み進めるうちに、思い当たる上司の言動が次々と本の中に見つかりました。ようやく、わたしはモラルハラスメントの加害者と出会ってしまったんだな…、と気付きました。
医療のプロでも手を焼くような人物を相手にして、わたしのような素人が太刀打ちできるわけがありません。
『我慢とか忍耐とかで解決できる問題では無いんだ…。』それが分かった瞬間に心の中のモヤモヤが晴れていくような気がしました。
モラハラ加害者から離れてもトラウマは残る
この本のおかげでようやく会社を離れる決心がつき、何とかメンタル疾患は回避することができました。
でも、退職後しばらくは防御本能が過敏になっていたようで、ストレスを感じやすい状態が続きました。
ある程度の困難は心を強くするために有効かもしれませんが、モラルハラスメントに耐えても得るものは無いと今は思います。
もっと早くこの本と出会っていたら、モラハラ上司に合わせようなんて無駄な努力をせずに済んだかもしれません。
モラルハラスメントの被害にあわないために
わたしの体験がまさしくそうだったように、モラルハラスメントの問題点は、パワハラやセクハラと違って、嫌がらせ行為が周囲に“見えづらい”、そして“分かりにくい”ことです。
具体的にどの行為がモラハラなのかを証明したり、他人に理解してもらったりするのは困難です。
この分かりづらさのせいで、モラハラ被害にあっていることに気付かずモラハラ加害者に歩み寄ろうと努力してしまいます。(この努力が逆効果になることを知らずに…。)
モラハラの加害者に何かを期待するのは無駄だ、ということがこの本を読めば理解できると思います。自分の力で状況を変えようと思ってしまったら、そのときはすでにモラハラ被害は始まっています。
人間関係に悩むことがあったら、是非この本を手にとってみてください。もしかしたら、問題の人物はモラルハラスメントの“加害者”かもしれません。